Concept

Concept

建築設計とは単に構造物を造ることではなく、人や動物が生き生きと生活したり居心地よく感じる場所を創り出すことと考えます。
建主の要求や曖昧なイメージを受けとめ、どの様に暮らしたいかという思いを導き出し、平面計画や断面計画から空間をイメージし、人や動物を置くにふさわしい空間の形 大きさ 光 色 音を整理し組立て提案すると共に、「居心地よい 落ち着く 楽しい 可愛い 美しい 上品」等と言った良質な感覚(空間)をデザインし、質素でも心に豊かさを感じる建物造りをします。
そして重要なことは、建物と敷地と自然と道路との良好な関係です。建物自体が良くても周辺の環境が良くなければ、美しい街はできません。
美しい街を造るためには、建物だけではなく敷地(庭やアプローチ)も良質な周辺環境を構成する要素である意識を持つことです。
家庭とは家と庭と言う文字からできています。庭がなければ家庭ではないとは、今の住宅事情から言えば言い過ぎですが建物が建つ以前の土地は元々田んぼか畑か山林だったはずです。
ですから建物を建てたら周辺や道路側のアプローチには植栽し、なるべく自然に返すと言うことが必要です。
人が10人いれば10人とも顔や性格が違うように、土地もまったく同じ条件のものはありませんし、建主もまったく同じ要望は出されません。
建主の価値観もこだわりも違いますし、それによって設計のコンセプトも1件1件違ってきます。
ただ、基本的な設計コンセプトは、構造的に強く、そして開放的にコストを上げずに造ることです。

構造的に強くとは、日本の地球上での位置は、地震分布図やプレートの境界分布図を見て分かる通り非常に多くの地震が発生する位置でありまた、台風も毎年のように日本めがけてやって来ます。建物というのは、「人の命や財産を守らなければならない使命」があるわけで大きな地震が来た時に自分が設計した家は、崩れずに立って残っていて欲しいという思いがあります。
ですから当たり前の事ですが構造的に強く造るのです。
開放的に造るとは、これには二つの意味があります。

一つは、家族のコミュニケーションが取れるようにするという意味で現在少年犯罪の数が増加し低年齢化しています。
その原因の一つに家族のコミュニケーションの不足があげられます。
これを無くすためには、壁や廊下を少なくし、家族の触れ合いの場であり団らんの場であるリビング ダイニング キッチンを一つの広い空間とし家族を集まり易くしてそこを通って子供部屋や寝室に入るような間取りにします。
あるいは、リビングなどに吹き抜けを設け1階と2階の連続性を高め家族の気配を感じるようにします。
このような開放的な間取りにすれば、家族のコミュニケーションを取り易くできるのです。
もう一つは、リビングやダイニングなどの人の集まる所に(条件により変わる)大きな開口部(窓)を取ることです。
日本には四季があり四季折々の自然のすばらしさを感じることができ狭い庭にも落葉樹を1本植えるだけで自然を感じることができます。
太陽の光や風や緑を、この開口部を通して感じるのです。

しかし、構造的に強くすることと開放的にすることは、背中あわせで相反することです。
構造的に強くしようとすれば幾らでもできますが、そのようなプランからは開放的で安らげる豊かな空間は感じられず、ただ単に人を入れた箱になってしまいます。
また、逆に開放的にしようとすれば幾らでもできますが、構造的に弱くなり設計者のエゴ(利己主義、うぬぼれ)でそれをやってはいけません。
設計は実に奥が深く、ただ単に建っていることだけ考えれば簡単ですが横から来た力(地震や台風の力)をいかにスムーズに地盤まで伝え逃がすのかを常に考え、また、安らげる豊かな空間を求め構造的に強く開放的にバランスを取って設計しなければなりません。
そしてこれを基本に、建主の暮らしや価値観 こだわり 感性を設計に反映させ、お互いに家造りを楽しむことです。

Life Style

家造りの上で大事な事は、まず家を建てる目的(動機)をはっきりさせることです。
目的がはっきりすれば自分達はどんな家に住みたいのかが分かってきます。
次に大事な事は、自分たちの今の生活を見つめてみることです。
「住みやすい家」とはどんな家なのか、それは簡単に言えば「自分達の暮らし方に合った家」なのです。
自分達の生活を理解することで、住宅展示場やカタログでみる理想ではなく、自分達の暮らしに合った理想を見つけることができるのです。
そして生活のしやすさを基本に何にこだわるのか、外観や内観などのデザインにこだわるのか感性や素材、設備機器なのか自分達のこだわりをはっきりさせる事です。

しかし、ここで認識していただきたいのは、予算、条件、敷地すべてに限界があるということです。
ご主人の言うことも、奥さんや子供さんの言うこともわかります。
意見が同じ部分もあれば、それぞれ違う部分もあります。
もちろんすべての部屋が南向きで日当たりも風通しも良く、広さも広いのが良いですが敷地の条件や予算、構造、施工には限界があります。
一番の限界は予算だと言えます。
何を優先し、何を我慢するのかを決めなければならないのです。
これができれば自分達の暮らし方や好みにあった理想の家が造れるのではないでしょうか。
ますは、自分達のライフスタイルを見つめてみましょう。

ZENJIRO MIURA DESIGN OFFICE